喫煙と歯周病の関係
みなさん、「歯周病」と言われても、初期は症状や痛みもほとんどなく気づきにくいため、自分は関係ないと思われている方も多いと思います。
しかし、歯周病患者は厚生労働省が3年ごとに実施している「患者調査」の平成26年調査によると、「歯肉炎及び歯周疾患」の総患者数(継続的な治療を受けていると推測される患者数)は、約332万人となり、現在も増え続けています。
実は、この歯周病、発症や症状の度合いに喫煙の有無も大きく関わっています。
タバコを毎日のように吸い続けていると、煙に含まれているたくさんの化学物質を吸い込んでしまいます。その化学物質の中には、体に対して有害なものが多く含まれていて、口臭を発生したり歯周病などを発症する原因となる物質もあります。そのため、喫煙は歯周病を発症させてしまうリスクが大きいと考えられています。
その中でも、特にタバコに含まれているニコチンは、体や口腔内に悪い影響を及ぼします。口からニコチンを取り込んでしまうと、歯肉の血管や毛細血管が収縮し、血流が悪くなるため、必要な酸素や養分などを歯や歯肉に十分に送ることができず、歯茎が痩せたり暗紫色になってしまいます。
そして、歯茎を含めた口内環境が悪くなると、それに伴って歯肉の抵抗力が低下してしまいます。血流の悪化などにより、歯や歯茎に付着している歯周病菌など細菌の感染を防ぐ抵抗力が低下するため、雑菌が歯肉のちょっとした傷などから侵入して炎症を起こしてしまうなど、さらに歯周病を重篤化させる原因にもなります。
また、ニコチンが体に与える悪い影響は、抵抗力や免疫力などの低下だけではありません。ニコチンはお口の中の唾液の分泌量まで減らしてしまうため、歯垢や歯石が付着しやすくなります。そのため、喫煙していない人に比べ、タバコを吸っている人は歯周病になりやすいと考えられます。喫煙者の歯周病リスクは、喫煙をしていない人と比べると約3倍ほどの高さになると言われています。
喫煙をやめても、歯周病が解消するわけではありませんが、喫煙をしていると歯垢や歯石が付着しやすいため、症状の改善が難しくなります。歯周病をしっかりと治療するためには、タバコをやめることが大切です。
歯周病の予防、早期発見のためにも歯科医院で定期健診の受診をおすすめします。また、歯周病であると診断された方は治療のために、禁煙外来などの受診も必要になるかもしれません。まずは歯科医師にご相談ください。