歯の健康と認知症のリスク
歯の病気と言えばまず、むし歯や歯周病が思い浮かぶと思います。
また、むし歯や歯周病は、初期の段階では痛みなどの自覚症状がほとんどなく、自覚症状が出るころにはかなり悪くなっていることが多いと言えます。
では、むし歯や歯周病を放っておくとどのようなことが起きるのでしょうか?
歯が悪ければ治療して、治療できなければ抜けばいいじゃないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、歯を失うと記憶力や運動能力が低下し、歯周病にいたっては認知症が悪化するという研究報告があります。
1.『歯』を失うと記憶力も運動能力も失う!?
イギリス発の研究発表によると、60歳以上の被験者3,166人に対して、記憶力と運動能力について10年間の追跡調査※を行なった結果、自然歯が残っている人とすべての歯を失った人の間には、記憶早期できた単語数と歩くスピードともに10%の隔たりがあったそうです。
※調査の内容
「記憶力」… 10個の単語を記憶し、記憶想起をテスト
「運動能力」… 約2.4メートルの距離を2回歩き、歩行スピードを計算
2.歯周病で認知症が悪化する!?
歯周病菌に感染し、それを放置すると歯周病菌の毒素や炎症を強める物質が増加し、脳内に炎症が波及してしまうことによって、アルツハイマー病の原因物質アミロイドβ※が増加します。それによって脳の萎縮が起こり、アルツハイマー型認知症の病状が悪化し、記憶や学習能力の低下が起こると考えられています。
※タンパク質の『ゴミ』物質(通称”脳のゴミ”とも呼ばれる。)
そのほかにも、歯やお口の健康をおろそかにすると、さまざまな弊害が起こり得ます。
からだの健康を保ち、いつまでもおいしく食事をし、元気で過ごすためにも普段のケアを大切にし、歯みがきと併せて定期的に歯医者さんの検診を利用されることをおすすめします。